10月27日(土)
坂出市にある四谷シモン人形館『淡翁荘』にて公開講座を聞いてきました。
坂出市に四谷シモンの人形館があるということを知っている方も少ないように思います。
1960年の初期作品から2000年代の作品まで、幅広いラインナップです。
私が四谷シモンを知っている理由は……よくわかりません。知らないうちに知っていました。
多分、アングラ演劇とか調べていた中で名前を知ったのだと思います。澁澤龍彦とか唐十郎とか赤テントとか、その辺だったかな?
人形作家の一面を知ったのは、少し遅れてからだったように思います。
最初は『女装して踊る人』という認識でした。
人形にはまってたのはもう少し前。
トーキング・ヘッズというアングラ系の雑誌を読んでいた時に『与偶』という人形作家さんの作品を見てからだったと記憶している。
その時、自分で球体関節人形の作り方の本を買ったり、実際にトライしてみましたが、まぁ、普通に難しくて断念。
それでも、人形は好きなので作品展を見に行ったり、雑誌で眺めたりしていました。
……前置きが長くなりましたね。
公開講座は四谷シモンのアシスタントの菅原多喜夫氏との対話形式でした。
内容は……一言で言うと『積み重ねてきた人間の凡人の理解を超えた世界』という感じでした。
特に記憶に残っているのは『人形は人形なんだと気がついた』という件でした。
私はアーティストというものは自分の中に大きなモチベーションを抱えているのもだと思っていました。何かを表現したい、伝えたいという思いを増幅して形にするのもだとばかり思っていました。
しかし、そこはとっくに超えてしまったように感じました。
人形に特別な意味を持たさずに『無』であるべきだ、と。
あとは『エロティックであってもいいが、下品であってはいけない』というのも納得です。
じゃあ、その境界線はどこにあるのか、と言われたら難しいところではあるんでしょうが。
私の理解力の外側にいる方ですが、一生懸命言葉を選びながら寄り添おうとしてくれている姿は印象的でした。
でも、そこに自分が寄り添えないもどかしさも同時に感じます。
芸術は特別な才能ではないのかもしれない。
本当に日々の積み重ねで完成したものなのかもしれないな。