2018年も色んな事をしました。
この記事では出演したり関わった舞台を振り返っていきたいと思います。
●2018年2月「きのこいぬの絵空事 演劇公演」
同じ劇団内の田坂くんと初の自主公演。
久しぶりに「興奮宗教心中」という作品を書いた。演出もした。振付も。
「ジのコウシン.exe」の振付は頭が死ぬかと思った。電子音で振付とか……もうね。やり切ったことはよかったが、今でももう少しいいものはなかったのかと思い返し、時々、悔んだりする。
自分で運営していくことの楽しさと苦しさを同時に味わった。けれど、達成感はすさまじかった。肯定的な意見、否定的な意見、いろいろあったけれど、それぞれに思うことを見つけてくれてよかったと思う。
あの時、作品に込めた思いはなかなか思い出せないけれど、今でも先行きの見えない不安感をずーっと抱えていて、いっそ誰がすぐに終わらせてくれたらいいのにとも思っていたりする。
●2018年3月「ハツカネズミと人間」
ホームの劇団「株式劇団マエカブ」での出演。
実は再演で4回目の公演になります。前は4年半前だった。
再演するきっかけというものは存在している。普段はお客さんの為と言い切れるが、今回は彼の為だけだった。また、いろんな話を聞かせてほしいけれど、それはずーっと先の話。次は私がいろんなお話をしてあげられるように頑張っていきたいと思っている。
今回のレニーは知的障害をにおわせるような演技を盛り込んだ。過去には思いつかなかった。今回は思いついて挑戦した。結果、レニーがかわいそうなだけの人にならなくてよかったと思う。憐れんだり同情されたりするだけが価値なのか。そんなことない。
私の中ではマイノリティを囲んで勝手な意見を述べるような人へのアンチテーゼでもあった、と思う。伝わらないけど。
●2018年4月「エンデのための鏡と時間の影」
コキカルさんに客演させてもらった作品です。
この時、初めてミヒャエル・エンデという人を知った。モモは前から存在は知っていたけれど。時間管理局とのやり取りがすごく好き。説得力があるようで、実は何も説得される必要のない時間の羅列。色んな作品をこの時は読み漁った。面白かったな。
作品は言葉があるようでなかったり。意味がないようであったり。
30分という時間の中で言葉や作品を理解するというよりも、その場を一緒に共有しながら存在するという感じ。とても豊かな時間が流れていたように思います。
私はこのようなタイプの作品が本当に好きなんだな、と再認識させられました。
そして、もっとストイックに作品と向かい合って、時には衝突も恐れないメンタルが必要だと感じていました。
●2018年7月「歌舞伎門事変」
マエカブでの出演作品。演出補佐と振付を担当。
とにかくしんどい作品でした。出演者も多く、その中でなかなかまとまった稽古時間も取れなくて……結構、衝突したように思います。しかし、その中で客演のダンサーの方と一緒に振付したりと、私の中ではとても充実した実り多い時間でした。
ただ、あまり役に向かい合う時間だったり、自分の為に時間を多く使えなかったことが悔やまれます。しかし、それも劇団の形。仕方がないことも多くあると思います。私は私の中の役割を果たす必要があり、それ以上、それ以外のことに関しては基本的には触れてはならないのだと思います。何のために役割分担しているのかわかりませんしね。
でも、そんな中でも役を愛してもらえてよかったと思います。ちゃんと取り組んできてよかったと、終わってからすべてが救われました。
●2018年7月「地下室のラプソディ」
コキカルさんの作品。照明で呼んでもらいました。
照明といっても舞台につりさげられたクリップライトを微妙に変化させる、といったものです。しかし、そのクリップライトがなかなかに厄介。というか、その時の彼のコンディションによるんですね。明かりをずっと見続けた弊害で視界がおかしくなってしまっているかもしれませんが。微妙な明るさ変化が必要なのに、それにレスポンスしてくれない明かりたち……。もう、この辺りは照明のこだわりになるんですがね。
役割はきっちとり果たしましたが、クリップライト照明がこんなにも操作困難ということを実感しました。
●2018年7月「透明人間235」
歌舞伎門事変で共演したダンサーの三木優希さんの作品。
大きなホールでの照明はとっても楽しかったです。すごくわくわくしました。
当初は照明参加でしたが、照明卓までラインを引っ張れることが判明し、最終的には舞台監督補佐になりました。
照明・舞台監督ともにとても勉強になり実り多い時間となりました。
第一線で活躍する人たちの思いや熱量に触れることができて、色んなことを考えるきっかえとなった作品でした。
●2018年8月「タウエンジャー」
昨年も呼んでいただいて、今年もお声掛けいただきました。
タウエンジャーは運動場や体育館で上演するので生声は使用できません。聞こえないので。その為、音声は別撮りで当日は動きを合わせていくスタイルです。セリフしゃべりながら演技をしなくていいので、私としてはタスクがひとつ減るので大助かりです。
毎年、終演後は「タウエンジャー」と謎の子供たちの声援をいただけて、今年も大盛況で幕を閉じました。
田植文化も少子高齢化に伴い段々と減ってきている中で、田植えを知らない子供たちも少しは身近に感じてくれることができたら……と、思ってみたり。
●2018年9月「カブフェス」
今年は「アイ、29歳」と「四谷怪談」に出演させてもらいました。
「アイ、29歳」は過去2回、公演がありましたが。どちらも女性アイドルでしたが、今年は男性アイドルとして奮闘しました。こういう明るくてまっすぐでという役どころはなかなかに苦手な部類なのですが、私の意と反してお客さんたちは楽しんでもらえていたようで何よりです。決めるところは確実に決める。演出の必要性を十二分に感じた公演でした。客観視して指示をくれる人間は本当に大切だと思いました。
「四谷怪談」は過去には朗読劇で上演したことがありました。今年は20分程度の短編となりました。私は宅悦を演じました。原作の四谷怪談?東海道?は勉強不足であまり知らないのですが、どうとでもなるキャラクターらしいですね。老人だったり、青年だったり……今回はお岩さんではなく、伊右衛門に恋するという不思議な路線でした。
しかし、四谷怪談はいろんな本が出ており、たくさんの解釈の下で作品化されてきていますから。この形も面白いのでは?と思っていますよ。
●2018年11月「弱虫クエスト」
初の市民劇でした。演劇経験の有無はもちろん、老若男女、様々なキャラクターが集まってきて、劇団とはまた違った楽しみがたくさんありました。みんな、とにかく一生懸命。技術云々ではなく情熱をもってお芝居に取り組む姿勢は本当に自分で見直す必要があるなとひしひしと感じました。
札が切り替わっていくという発想は面白く、札は烙印、スティグマの表現だと思う。それを取り払うけれど、また、新しい札を付けて人間は歩いていかなければならない。なんだかとてもつらいようなラストに感じたけれど、それが私たちの人間の生き方なんだろうな。しかし、その札たちは他人に付け替えられたり強要されたりするものではない。自分の意思で強く立って生きていかなくては。
●2018年12月「春の遺伝子」
今年最後の出演作品でした。岡山の「演劇ユニットcoicoi」さんの作品です。過去には「小部屋の中のマリー」という「DULL-COLORED POP」という劇団の作品を公演する際に呼んでいただいたので、今回で2回目の出演です。
内容は簡単に言うと「原発事故が起こった後のネオ岡山。放射線の影響で立ち入り禁止となっていた帰還困難区域で人間を発見した。その人間は一体誰なのかを紐解いていく」という話です。脚本でも十分面白い作品なのですが、そこに演出の妙技が加わり不可思議な作品になったと思います。作品を作り上げる中で、世界情勢が作品に寄り添ってきているような……そんな恐怖のような感覚がありました。
平成最後、この作品に出演できて本当によかたっと心から思います。
以上が出演や照明で関わった作品になります。
単純に作品数に直すと13作品。月1回以上、お芝居していた計算になります。
本当に充実した1年間を過ごさせていただきました。
来年も皆様の頭の片隅にでもおいてもらえるように誠心誠意努力し前進してまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。