ちゃっぴーの雑記帳

香川県で細々と演劇したりダンスしたり観劇したり本を読んだり映画を見たり……日々の思いや考えを綴っていきます。

清水宏のむつごいlive 2019 -燃えるスタンダップコメディ-

もう、いったい何回目なのか?

そして、何回見に行ったのか?

来過ぎて、行き過ぎて、もうわからなくなる。

 

そんな「清水宏」さんが令和になって初めて高松にまたまたやって来ました。

しかも、今回は「スタンダップコメディ

2年前にもスタンダップコメディをしていたのですが、私の都合がつかず見ることができず、今回はとても楽しみにしていました。

 

……とは?と描いてみたものの、思いつかない。何者なんだろう?

過去、山の手事情社に所属しており、現在はフリーの役者・コメディアン。

日本スタンダップコメディ協会会長。

演劇に対するアレルギーがある、みたいな話をするけれど凄く演劇に対して凄く熱い思いを持っている人。

また、「清水宏の世界を笑わせろ」という、外国に体当たりで行って現地の言葉でステージに立つ、という無茶苦茶な企画を何度もやり遂げている人。

言葉にしてもどれもピンと来ない不思議さ。

 

日本スタンダップコメディ協会https://standupcomedy-japan.com/)によると

 

「演者一人がマイク一本でステージに立ち、客席に話しかけるスタイルの話芸」

 

と、なっています。確かにその通り。でも、馴染みがない。「スタンダップコメディ」って何だろう?外国ではコメディの主流となっているみたい。

日本で馴染みがある似たようなコメディは「落語」になるのかな?「マクラ」は客席に向かって話しかける。でも、「饅頭怖い」や「死神」や噺を行う。完全にフリースタイルなわけではない。

……ということは、ずっと「マクラ」を続けているようなものなのかな?

 

  • 感想など

今回、「スタンダップコメディ」を初めて拝見しました。

次々と話題が変わっていきます。政治・社会のこと、清水さんの家族のこと、地域に住む無名の人々、宗教と死について。社会風刺的なところから、身近なところ、そして一見重いテーマも軽やかに、でも決して軽んじることなく扱っていきます。

ただ、思うことを喋り続けるというモノではなく、演劇的に色んな人を演じ分けている。どこまで事前に決めて、どこからアドリブなのか、もう全く分からない。それだけ、隙がない。恐ろしいほどに隙がない。客席の反応は逐一、キャッチしてその中でベストな選択肢を取っている。これが世界で渡り合ってきた人の実力か、と思う。でも、隙がないからと言って隔たりもなく、一瞬でこちらに入ってくる。汗と唾を飛ばしながら。熱気が開場中を包み込む。

 

清水さんのスタンダップコメディの魅力は「面白い」だけで終わらせない所だと感じた。

「コメディ=笑い話」という認識だし、そういう心持でやってきている。もちろん、面白く楽しませてくれる。だけど、その中にちょっとした引っ掛かりや投げかけをしてくる所がとても好き。そのバランス感覚がよくて、抵抗なく入ってくる。視野が広がって、自分で考えることができるというか……。ちょっとブラックな所も魅力ですよね。言葉のストレートなチョイスとか。

また「人間を見る目」というのも魅力です。

私は福祉の勉強をしてきたので、人を見る目の基本が「受容と傾聴」に傾きがちです。というか、考え方がそこに行きつく。「人の話を聞いて、受け入れ、否定しない」というのが基本です。いや、いつもはしないですけどね。できないし。

一方、清水さんは常に「対等」にあろうとする気がしますグイグイと相手のバリアを破壊して、時には引きずり下ろし、どうにか同じステージに立とうとしている。時々、無茶苦茶なこともしつつ。それだけのエネルギーを常に放出させている人なんでしょうね。そして、対等になってから喧嘩したり、お節介を焼いてみたり……話を聞いているだけで疲れるようなことを毎回、やっている気がします。

 

っても、言葉でいくら説明しても難しいです。

同じ空間で熱量を共有してこそ、伝わるものなんだと思います。

私は基本的に舞台・客席の境界線を越えてくる作品は苦手意識があるんですが、清水さんは絶妙な力加減です。境界線を越えてきているのに、越えてない感じ。

 

今回は四国を巡っています。

また、香川にも来てくれることを楽しみにして、いつか日本スタンダップコメディ協会主催のイベントも観に行きたいものです。