ちゃっぴーの雑記帳

香川県で細々と演劇したりダンスしたり観劇したり本を読んだり映画を見たり……日々の思いや考えを綴っていきます。

江戸川乱歩作品紹介「お勢登場」

いや、間、開きすぎだわ。

仕事と稽古が忙しすぎて更新が滞ってしまった。急いで書いていきます。

 

株式劇団マエカブ・劇団まんまる合同公演

「乱歩之回-江戸川乱歩戯曲短篇蒐」

 

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作品紹介第2弾です。

今回の公演は1公演3演目上演となっております。

なので、どの回を観劇するかによって、上演作品が違ってきております。

「どの回を観劇しようかな?」と迷っている方が、少しでも選ぶ基準にしていただけたらなと思います。

 

それでは、本日は第2本目!

 

  • お勢登場

1926年7月に「大衆文芸」に掲載された作品です。

当初は「お勢」を主人公とする連続犯罪小説が掲載されることが構想されていたそうです。この作品には「若し作者の気持ちが許すならば、この物語を一つの序曲として、他日明智小五郎対北村お勢の、世にも奇怪なる争闘譚を、諸君にお目にかけることが出来るかも知れないことを申し加えて置きましょうか」との予告が、末尾に記されていたそうです。

しかし、そのような続編はなく、終了したという物語があります。

なので、もしかしたら江戸川乱歩は「明智小五郎」以外にも「お勢」という有名キャラクターを生み出していたかもしれない……という、なんだかわくわくする歴史を持った作品なのです。

 

ちなみに、私は「明智小五郎」の登場する作品は、実は読んだことがなく……今回の公演に合わせて読んだのが初めてになります。

 

メインの登場人物は「格太郎」と「お勢」です。

「格太郎」は「お勢」の夫で、肺を病んでいますが、、お勢はそんな格太郎を他所に不倫に興じているのです。

どうして、不倫を黙認しているのか……それは、二人の間に生まれた「正一」という子どものことを思ってなのかもしれないし、夫としてのプライドかもしれないし……絶望にも似た諦めなのかもしれないな、と思う。

病に侵された人間の身体的な虚弱から来る、精神的な虚弱を感じる。

 

ある日、正一が友達を連れてきて遊んでいました。いつもは植木いじりをして過ごしている格太郎が、その光景を見ていると「一緒に遊んでみようか」という気持ちになり、お噺をしてあげたら益々上機嫌になって、一緒にかくれんぼをして遊ぶようになりました。

 

……そのかくれんぼが、格太郎の不幸をおびき寄せ、同時にお勢の運命が狂っていくきっかけになるのです。

 

これもネタバレとなるので、あまり書きたくないのです。

ですが「青空文庫」で読めますので、興味のある方は是非に。

 

お勢登場の後半部分は江戸川乱歩の描写力に溜息をつくばかりです。

非現実的な事実が、実はすぐ目の前に口を開けて待っており、ちょっとバランスを崩せば飲み込まれてしまうような感覚を味わいます。

そして、その「非現実」を文章力を持ってして、力づくにでも「現実」に引き寄せてきます。是非とも、ご一読いただきたいと思います。

読み進めながら、段々と、息ができなくなるような……。

 

  • そんな「お勢登場」を演じるのは

今回、ダブルキャストで挑みます。

「香川公演」は全て株式劇団マエカブからの参加です。

繁中、橋本、三嶋、与力、法兼の5人です。

そして「徳島公演」では一部キャストが変更になします。

繁中、橋本、三嶋、与力、藤本の5人になります。

藤本さんは徳島の「劇団テアータ’80」の役者さんです。

 


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香川組自主稽古風景


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演出の大木さんに見ていただきながらの稽古


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そして、一部、衣装も着てみながら……

 

 

そしてそして、何を隠そう、このダブルキャスト部分は物語のキーとなる「格太郎」なのです。

香川公演も徳島公演も、どちらも違った味のある「格太郎」を見ることができます。

ダブルキャストの場合って「どっちが上」とか「どっちが面白い」っていうのはナンセンスだと思っています。もちろん、人それぞれの好みがあるので、そこは何とも言えない所ですが。

私個人としては「どちらも面白い」と言えます。メインがしっかりと芝居ができるように、脇を固めていかなければな……と息巻いております。

 

そして、おかしいな?と思う所、ありません?

そうです。原作よりも登場人物が多いんです。

何故かは是非とも会場でお確かめいただきたいです。乱歩先生が現実にすることできなかった「明智小五郎対北村お勢」が見れる……かも。

いや、これこそ脚本の醍醐味だと思いました。

脚本を配られた後に原作を読み、そして、末尾の言葉を知り……ワクワクが止まりませんでした。

ブログを書きながら、あの時感じた興奮を思い出します。なんだか、自分自身が本番、一番、楽しく演じながら観客視点としても楽しめるな、と思う。役得役得。

あ、もちろん、私も役者、頑張ります!何役かは見てのお楽しみ……きっと、想像しない所だと思います。ふふふ。

 

そんな「お勢登場」は多くの公演回数をいただいております。

その数何と8公演中7公演。でも、ダブルキャストとなっておりますので、可能であれば「香川」「徳島」の違った味を楽しんでもらいたいです。観光がてらに是非。

 

【香川公演】

・6月15日(土)14:00~

         18:00~

・6月16日(日)17:00~

【徳島公演】

・6月22日(土)15:00~

         19:00~

・6月23日(日)11:00~

         15:00~

 

6月16日(日)17:00の回は公演終了後に会場の「ヨコクラうどん」さんでうどん打ち上げも予定しております。

お時間ありました、そちらも是非、ご参加くださいね。

 

以下、公演詳細!

 

 

株式劇団マエカブ・劇団まんまる合同公演
『乱歩之回-江戸川乱歩戯曲短篇蒐-』

 


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うつし夜はゆめ よるの夢こそまことーーー
舞台が終わり戻る先は、現実か、あるいは虚構か。


[チケット]※両公演共通
前売:1,500円
当日:1,800円
※未就学児の入場はご遠慮ください
※前売りチケットの販売は香川6/12 23:59、徳島6/20 23:59まで。
Web予約をされた方は、お支払いは公演当日、会場にてお願いします。

[公演情報]※両公演共通
上演時間:約60分予定

 

[上演作品]
「赤い部屋」…RIN
「お勢登場」…繁中、橋本、三嶋、与力、法兼(香川)/藤本(徳島)
「百面相役者」…宮元、藤本
一人二役」…仁後、三嶋、佐光
「指」…与力、英、坂東

 

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《香川公演》
[日時]
2019年6月15日(土)14:00開演、18:00開演
2019年6月16日(日)14:00開演、17:00開演
※開場は開演時間の30分前

 

6月15日(土)
14:00「指」「赤」「お勢」
18:00「百」「赤」「お勢」
6月16日(日)
14:00「指」「百」「一」
17:00「一」「赤」「お勢」


[会場]
ヨコクラうどん(高松市鬼無町鬼無136-1)


[駐車場]
駐車場に限りがあります。
恐れ入りますが、なるべくお連れ様と乗り合わせの上、
(有)手ぬぐい工房ポスター堂さん(香川県高松市鬼無町鬼無257-11)の駐車場に
駐車をお願い致します。(ヨコクラうどんまで徒歩5分)
当日スタッフがご案内します。

 

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《徳島公演》
[日時]
6月22日(土)15:00開演、19:00開演
6月23日(日)11:00開演、15:00開演
※開場は開演時間の60分前


[会場]
大正館(徳島県小松島市小松島町字外開7-11)

 

6月22日(土)
15:00「指」「一」「お勢」
19:00「一」「百」「お勢」
6月23日(日)
11:00「指」「百」「お勢」
15:00「一」「百」「お勢」

 

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[出演]
〈株式劇団マエカブ〉
藤井みな、繁中あずさ、与力(よりき)、三嶋孝弥、橋本琢真、法兼弘季、RIN
〈劇団まんまる〉
大木茂実、佐光恵美子、宮元優佳、英佑有紀、坂東幸奈
〈劇団テアータ’80〉
藤本康平
〈フリー〉
仁後哲志

[スタッフ]
原作:江戸川乱歩
演出:大木茂実
脚本:藤井みな、大木茂実
構成:藤井みな
公演責任者:大木茂実
舞台監督:三嶋孝弥
衣装・舞台美術・小道具:繁中あずさ、宮元優佳、法兼弘季
照明:三嶋孝弥
制作:<香川>与力(よりき)・橋本琢真 <徳島>佐光恵美子


[お問い合わせ]
●株式劇団マエカブ(香川)
090-7572-6104(岡田)
http://maekabu.main.jp/ 

●劇団まんまる(徳島)
050-5359-4043
https://troupemanmaru.com/contact 

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