ちゃっぴーの雑記帳

香川県で細々と演劇したりダンスしたり観劇したり本を読んだり映画を見たり……日々の思いや考えを綴っていきます。

江戸川乱歩作品紹介「百面相役者」

乱歩之回作品紹介マラソン実施中。

前半戦の最後を飾るのは「百面相役者です」

 

株式劇団マエカブ・劇団まんまる合同公演

「乱歩之回-江戸川乱歩戯曲短篇蒐」

 

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作品紹介第3弾。

今回の「乱歩之回-江戸川乱歩戯曲短篇蒐」は1公演3演目となっております。

ですので、どの公演を選ぶかによって、上演される作品が違ってきます。

「どの回に行こうかな?」「どの作品を観ようかな?」と迷っている方の少しでも参考になればなと思います。

 

 

  • 百面相役者

1925年の「写真報知」に掲載されたのが初出となります。

ん?報知新聞社って、新聞に掲載されていたの?昔は新聞社にも掲載されていたんだ。

あ、だから、百面相役者の登場人物が新聞社の編集部に勤めている、という設定だったのかな?

 

昔、百面相役者は読んだことがありました。単純に「気持ち悪い」という話だった覚えがありますが、久しぶりに読んだらどういう感想を抱くのか……。

 

登場人物は書生の「僕」と新聞社の編集部に勤める「R」という男。

日露戦争のすぐ後(1905年9月が日露戦争終戦日)、進学するためのお金を小学教員で稼いでいる「僕」は物知りの「R」を日曜日になる度に訪ねていた。その「R」は変なことばかり物知りで「変態性慾」の持ち主だという。

そのRに「是非、見せたいものがある」連れられて訪れたのが

新帰朝百面相役者××丈出演

探偵奇聞「怪美人」五幕

という看板が掲げられた汚い劇場であった。

その舞台に出ている百面相役者の変装がちっとも見分けられない。肉にちゃんとしわが刻まれて、顔形がまるで変ってしまう。目や口が大きくなったり小さくなったりするばかりでなく、鼻や耳の恰好さえ変わってしまう。錯覚なのか秘術なのか。違った人間が演じているのかと思うも「声が同一音調」だという。

そして、芝居が終わった帰路、Rが僕を家に呼んで……ここから物語が動き出します。

 

これも「青空文庫」で読めますので、是非とも一読いただきたい。

 

何故、百面相役者が「百面相役者」なのかが解き明かされていきます。

突拍子もない想像だし、実際にそのようなことが行われていたも「いや、無理やん」と思うんですが……思うんですが、想像したらゾッとしますよね。それがフィクションの面白さですよね。それを「現実では無理だから無理」というのは、何だかさみしい気がします。

 

この小説は気持ち悪さと、後味の悪さが残ります。

フィクションが現実を食い破ってくる感覚を覚えました。

安全圏からの傍観が、段々と境界線が曖昧になって、最終的には足首をつかまれているような……それを新聞社員がモデルとなっていて、新聞に掲載するというのだから、それだけでも境界線が曖昧にされて困るし気持ち悪いし。

 

  • そんな「百面相役者」を演じるのは

こちらは、徳島組が熱演します。

 

ひとりは「劇団まんまる」の宮元優佳さん。

 


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もうひとりが「劇団テアータ’80」の藤本康平さん。

 


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徳島組が劇団の垣根を超えて共演します。

お二人とも熱心でフレッシュで演出の意図をちゃんと組み取ろうとしながらお芝居を作りあがていく姿が印象的です。

年齢も近いふたりが、軽やかに、時には重く、百面相役者の世界を演じてくれます。

個人的にはキャスティングが一番バチっとはまっているように感じます。

とても楽しみにしています。

 

そんな百面相役者は香川でも徳島でも上演されます。

是非、ご都合のいい日程でお越しください。

 

【香川公演】

・6月15日(土)18:00~

・6月16日(日)14:00~

【徳島公演】

・6月22日(土)19:00~

・6月23日(日)11:00~

         15:00~

 

以下、公演詳細!

 

株式劇団マエカブ・劇団まんまる合同公演
『乱歩之回-江戸川乱歩戯曲短篇蒐-』

 


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うつし夜はゆめ よるの夢こそまことーーー
舞台が終わり戻る先は、現実か、あるいは虚構か。


[チケット]※両公演共通
前売:1,500円
当日:1,800円
※未就学児の入場はご遠慮ください
※前売りチケットの販売は香川6/12 23:59、徳島6/20 23:59まで。
Web予約をされた方は、お支払いは公演当日、会場にてお願いします。

[公演情報]※両公演共通
上演時間:約60分予定

 

[上演作品]
「赤い部屋」…RIN
「お勢登場」…繁中、橋本、三嶋、与力、法兼(香川)/藤本(徳島)
「百面相役者」…宮元、藤本
一人二役」…仁後、三嶋、佐光
「指」…与力、英、坂東

 

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《香川公演》
[日時]
2019年6月15日(土)14:00開演、18:00開演
2019年6月16日(日)14:00開演、17:00開演
※開場は開演時間の30分前

 

6月15日(土)
14:00「指」「赤」「お勢」
18:00「百」「赤」「お勢」
6月16日(日)
14:00「指」「百」「一」
17:00「一」「赤」「お勢」


[会場]
ヨコクラうどん(高松市鬼無町鬼無136-1)


[駐車場]
駐車場に限りがあります。
恐れ入りますが、なるべくお連れ様と乗り合わせの上、
(有)手ぬぐい工房ポスター堂さん(香川県高松市鬼無町鬼無257-11)の駐車場に
駐車をお願い致します。(ヨコクラうどんまで徒歩5分)
当日スタッフがご案内します。

 

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《徳島公演》
[日時]
6月22日(土)15:00開演、19:00開演
6月23日(日)11:00開演、15:00開演
※開場は開演時間の60分前


[会場]
大正館(徳島県小松島市小松島町字外開7-11)

 

6月22日(土)
15:00「指」「一」「お勢」
19:00「一」「百」「お勢」
6月23日(日)
11:00「指」「百」「お勢」
15:00「一」「百」「お勢」

 

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[出演]
〈株式劇団マエカブ〉
藤井みな、繁中あずさ、与力(よりき)、三嶋孝弥、橋本琢真、法兼弘季、RIN
〈劇団まんまる〉
大木茂実、佐光恵美子、宮元優佳、英佑有紀、坂東幸奈
〈劇団テアータ’80〉
藤本康平
〈フリー〉
仁後哲志

[スタッフ]
原作:江戸川乱歩
演出:大木茂実
脚本:藤井みな、大木茂実
構成:藤井みな
公演責任者:大木茂実
舞台監督:三嶋孝弥
衣装・舞台美術・小道具:繁中あずさ、宮元優佳、法兼弘季
照明:三嶋孝弥
制作:<香川>与力(よりき)・橋本琢真 <徳島>佐光恵美子


[お問い合わせ]
●株式劇団マエカブ(香川)
090-7572-6104(岡田)
http://maekabu.main.jp/ 

●劇団まんまる(徳島)
050-5359-4043
https://troupemanmaru.com/contact 

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