ちゃっぴーの雑記帳

香川県で細々と演劇したりダンスしたり観劇したり本を読んだり映画を見たり……日々の思いや考えを綴っていきます。

青年団国際演劇交流プロジェクト2019「その森の奥」

2019年6月26日

四国学院大学ノトススタジオにて

青年団国際演劇交流プロジェクト2019

青年団+韓国芸術総合学校+リモージュ国立演劇センター付属演劇学校

「その森の奥」を観劇してきました。

 


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  • 青年団国際演劇交流プロジェクトとは

青年団、韓国・韓国芸術総合学校、フランス・リモージュ国立演劇センター付属演劇学校による国際共同事業、ということです。

「韓国芸術総合学校」は1992年に設立された大韓民国唯一の国立芸術大学。演劇創作プラットホーム」という卒業生や在学生に完成度の高い創作機会を与え、国内外で作品提供するという事業を行っているみたいです。

リモージュ国立演劇センター付属演劇学校」は1997年に設立され、世界各国の演劇学校と連携して、2016年から国際演劇学校フェスティバルを隔年開催して、外国作品の受入れや交流を盛んに行っているそうです。

 

  • 「その森の奥」とは

マダガスカルにある、架空のフランス国立霊長類研究所。

ここでは、フランス、日本、韓国の研究者たちが霊長類研究に従事している。

猿そのものを研究対象としている霊長類研究者と、猿を実験材料としたい心理学者、猿のテーマパークを創りたい観光業者などの思惑が入り交じり様々な対立が起こっている。背景には、日韓の歴史問題、あるいはフランスの旧植民地の問題、マダガスカル固有の歴史の問題があり、人間関係をより複雑にしている。熱帯のジャングルの中、終わりのない議論が続いていく。

(パンフレットより引用)

 

  • 公演を見た感想

まず、会場に入って目につくのが舞台後方に宙づりにされたモニター2つ。入場後すぐに注意事項がモニターに映っており、そこに字幕が映し出されることを理解できる。

言語は日本語、韓国語、フランス語が入りまじる。しかし、お互いに言語翻訳機というのをつけているので、日常会話は問題なく行っている。いや、現実にまだリアルタイムにタイムラグなく翻訳してくれる機械なんてないのだから、俳優同士がお互いの言語を理解しているってことだよね……恐ろしい。

もちろん、私の母国語は日本語だし、韓国語やフランス語は履修していないのでもちろん喋れないし、聞いても意味なんて理解できない。理解できないけれど、何となく耳は楽しく感じるのは何故なのだろうか。色んな言語が飛び交っており、最初は意味や感情を理解しようと躍起になって追いかけていたのだけれど、途中で諦めた。そしたら、言葉が音となって入ってくるようになって、楽しく感じるようになったのは不思議な体験だった。

しかし、目は大変だった。言葉は流すが、モニターを見て言葉を理解しようとし、俳優の動きや表情も追いかけようとしたら目が足りない。目が足りないって言葉、初めて使った。後ろの方の席に座っていたので俯瞰してみることはできたのだが、これに関しては見方がわからないまま終わってしまい悔しい。自身の演劇教養のなさを感じてちょっとしょんぼりする。

話の内容は多岐にわたり、人種だったり、科学技術の話、モラルや倫理。普通はかみ合わないようなジャンルの話が、段々と噛み合ってくる。そして、登場人物の多さと言語の多様性。もう、平田オリザの頭名の中はどうなっているのか?って思います。

正直、物語を追いかけるのが難しくて、最終的には俯瞰して形を追いかけるようになってしまった。なので、戯曲を購入して読んでみることにした。

戯曲はとても精巧で細分に至るまで計算されていることを感じる。言葉の綺麗さというよりも、会話の緻密さを感じる。それぞれの研究者や観光業者の思惑が入り乱れ、関係ないような話から、新しい発想が生まれて関係性を持って説得力が増していくような。そんな感じでした。

 


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可能ならもう一度、観劇したいと思う。

一方で、身体も精神も疲れるので大変だなぁ、という思いもある。

しかし、こんな言語が入り乱れる観劇経験は初めてなので、とても有意義な時間を過ごすことができました。