2019年9月15日(日)11:00~
カブフェスで観劇したUnit outの「ツイノスミカー夜更けの星ー」の観劇記録。
作・演出:玉井江史香
出演:白戸七海、小野桜子
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「Unit out」とは?
主催は初代四国劇王の玉井江史香さん。
愛媛県のみならず、高松・高知・広島、そして大阪でも精力的に公演を行っています。
短編、中編の作品が多いイメージです。
公式Hpには「人の佇まいや言葉や会話、それによって変わっていく空気を大切にした作品づくりをしています」と書かれています。
まさにその通りだと思います。
私が初めてUnit outさんを観劇したのは2013年の(そんなに前なの?)「部屋を出て、部屋へ帰っていくあなたのための音楽」でした。
まず、タイトルのセンスが物凄く好きで、そこから「見に行きたい!」って思って行ったはず。
そこから、あの世界観の虜になると同時に「どうやったらこんな作品と演出ができるのだろうか?」って憧れと悔しさを覚えました。
そこから名前を忘れられない劇団となりました。
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感想
Unit outの今年のテーマは「終の住処」、連作最後の作品です。
まだよく見えない、けどずっとある「いつか」。
かつて、そしてその先も「女の子たち」であった母と娘のお話です。
カブフェスに今年も来られて嬉しいです。
Unit outさんの「終の住処」シリーズの最後の作品です。
その前の作品は観劇することが叶わず、でも、この連作はどれかを観ておかないと後悔する、と思っていたので、今回観劇できてよかったです。
実は、その前に自分の出演があったので、途中入場となってしまいましたが……。
舞台の創り方が、会場のお庭も舞台とした作り。
まず、そこに「嘘」がない「本物」が存在する。
そして、時々、微かに聞こえてくるセミの鳴き声。
実は音響効果であって「嘘」を「本物」と騙される。
そして、効果でない匂いを感じる錯覚を覚えました。
夏の終わりに繰り広げられている、「母」と「娘」の何気ない会話。
他人の家の一部始終を覗き見しているような感覚を覚える。
絵として完成されているような世界。
穏やかで、綺麗で、でも、会話の中からどこか切なさも感じる。
認知症が進行すると新しい記憶から消えていく。
最終的には自分が子どもだったときの記憶が残るらしい。
最後、自分「母」が「娘」になり、きっとその「娘」が「孫」になってしまう。
その中で、一瞬、ふたりが「女の子」として対峙した瞬間がある。
テーマとしては一見、重く、そして若い役者さんが演じるのは大変であると思う「老い」
それを、過剰に演じることなく、ナチュラルに関係性を示す技術は流石だなと思った。
悔しい位に魅入ってしまった。
夏の終わりに体験して素敵な観劇経験でした。