2019年9月16日(月)12:00~
カブフェスで観劇したシャカ力の「元男の子」の観劇記録。
作・演出:行正忠義
出演:井上琢己、行正忠行
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「シャカ力」とは
2010年10月結成。
四国劇王Ⅳ、Ⅴと二連覇達成。
第1回神奈川かもめ短編演劇祭にて「演出賞」受賞。
代表の「人が笑う理由は様々。観客全員に笑いを届けたい。」の想いの元、しゃかりきに活動を続けています。
私が初めてシャカ力さんにお会いしたのは、四国劇王Ⅳの予選でした。
同じブロックで「槍隊FORDIE」というお芝居を上演されていました。
全身タイツで、竹やりをぶんぶん振り回すお芝居で、もう何が何やら。
いい歳した方々が、舞台の上で好き勝手する話……というわけでもなく、笑いの中に含まれる毒がとてもいいスパイスで。
その後、何作品かシャカ力さんのお芝居を観劇して、毎度思うのは「笑ったことを後悔する」ということです。
確実に笑いを取りに来ているのに、笑ってしまったことを何故か後悔させられるような。
「笑い」と「毒」のバランスがとてもいい劇団さんだです。
そして、何より、俳優陣が強くて上手い。
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感想
みんな、お母さんのお腹の中にいて、生まれて、赤ちゃんで、子供だった。
いろいろあって大きくなったおっさん二人のお芝居です。
最初に始まる「ニベアの歌」。
いきなり中毒性の高いオリジナルソングをぶっこまれて、否応なしに世界観に引きずり込まれる。
しばらくtwitteでいろんな人がニベアの歌を歌ったり、「どんな歌詞だったっけ?」と盛り上がっていたのが懐かしい。
相変わらず、言葉遊びがとても上手。
ダブルミーニング的な遊びは、野田秀樹みたいでわくわくします。
時間の使い方もとても有効的で、最初からいろんな引っ掛かりを散りばめて、中盤頃から不穏な空気が流れ出す。
後半に一気に物語を回収する。
行正さんの脚本力はさすがだなぁ……と、毎回、公演を見るたびに思う。
無駄があるのに無駄がない感じ。
井上さん・行正さんコンビは本当に安定感がある。
「安定して面白い」というのは本当にすごいやら、ずるいやら。
「玉砕のしおり」という文字があったので、私の中では勝手に戦中の話だと思っていました。
しかし、「時代」については言及していない、と行正さんに教えてもらい、もう一つぞっとしました……確かに、私が勝手に「戦中」だと思っていただけでした。
相手にも妻がいて、子どもがいて、愛する家族がいて……。
そんな当たり前のことを、戦争というものは壊していく。
当たり前の恐ろしさを、目の前に突き付けられた感じでした。
やっぱり「楽しい」だけじゃないお芝居を見るのは、私はとても得した気持ちになれます。