ちゃっぴーの雑記帳

香川県で細々と演劇したりダンスしたり観劇したり本を読んだり映画を見たり……日々の思いや考えを綴っていきます。

劇団テアータ'80「ここだけの話」

11月17日(日)12:00~12:50

徳島県「アトリエくま」で観劇した、劇団テアータ'80「ここだけの話」の観劇記録。

作:高橋いさお

演出:石塚枯吟

出演:藤本康平(劇団テアータ'80) 、東條優紀(STUDIO SOL)、 安福仁志(劇団orange cycle)

 

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  • 「劇団テアータ'80」とは

劇団テアータ’80とは徳島で活動する演劇団体です。

その名の通り1980年に旗揚げをしました。

子どもからお年寄りまでが楽しめるお芝居を提供し続けられるよう頑張っています。

(劇団HPより引用)

 

 私が生まれる前から徳島県で長年、活動されてきた老舗劇団です。

2019年3月に徳島演劇ネットワーク公演「鯖の頭」で存在を知りました。

2018年12月に劇団の演出家さんが病気の為に急逝され、解散の危機に陥っていたそうです。

そして、劇団OBの方が戻ってこられ、稽古場も劇団まんまると共同で借りて、今回の設立記念連続企画にて公演することになったそうです。

 

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劇団の土台となる代表の方が急逝され、また、稽古場確保も奔走しながら脚本の準備や稽古をしてきたことを考えると、とても大変な苦労があったことかと思います。

来年が劇団設立40周年になるということで、是非とももっと走り抜けてほしい劇団さんです。

 

  • 感想

舞台はピカレスク・ホテルの一室。

訳アリの男とこれから始まる結婚式の主役の花嫁……。

さて、いったいどんな展開が。

(チラシより引用)

 

 出演者の藤本康平さんとは今年の6月に「乱歩之回ー江戸川乱歩戯曲短篇蒐」で共演した役者さんです。

 

www.chappy0623.work

 

その前に「鯖の頭」で拝見して、安定感のある役者さんだと感じていました。

そして、共演して変幻自在に雰囲気をシフトチェンジできる器用さを持っているように思いました。

 

東條優紀さんとも、過去に一緒に舞台に立たせてもらいました。

とても真っ直ぐなパワーを持った役者さんです。

目がぱっちりとしていて、目線の演技がとても上手だと感じます。

 

で、たぶん安福仁志さんも知っている……はず。

「鯖の頭」で、確か、お見かけしたと思う。

鯖の頭の感じとまた違って、飄々としたお芝居も上手だなぁ……と思う。

 

 

お芝居の内容としては主役の花嫁が結婚するのが嫌で、ある男のホテルの一室に逃げ込むというシチュエーション。

ワンシチュエーションで物語が展開していくので、時間軸も同列で暗転もなくとて見やすい作りでした。

その花嫁に巻き込まれながら「どうして男がホテルにいるのか」という理由が明らかになっていく。

 

花嫁が「結婚生活への始まりに不安を抱える存在」で、男が「結婚生活の終わりを迎える存在」であり、その立場の2人が一緒な部屋に存在しているという構図はとても面白かった。

状況が全く違う2人の存在、というものがホテルの一室の緊張感を高める。

しかし、男が完全に巻き込まれる形であるのは不幸でしかない。

進むことも戻ることもできない状況に置かれていて、花嫁に理由があるとはいえ、何だかかわいそうになってくる。

これは私が男だから、そう思うのだろうか?

 

最終的に花嫁は結婚することを決めて部屋を出ていくのだが、出ていくまでのやり取りが爽やかでよかった。

変にドロドロしているわけでもなく、お互いにスッキリとした未来に進む絵が見える。

 

個人的な好みでは、もうひと展開くらいあれば面白いかもなぁ……とか考える。

考えるけれど、この形も、綺麗に収まっており、誰も不幸にならず、とにかく爽やかでいい。

時々、こうやって、真っ直ぐなお話を観るのもいいなと思う。

 

と同時に、どうしてこんなに不幸の話が好きなのか……と、考え込んでしまう。

真っ直ぐで爽やかなお話がか書ける人は、本当に素晴らしいな。