ちゃっぴーの雑記帳

香川県で細々と演劇したりダンスしたり観劇したり本を読んだり映画を見たり……日々の思いや考えを綴っていきます。

【世界がシャープに切り取られる】ケイコ 目を澄ませて

大学時代から聴こえにくさを抱えた人と接する機会が多かった。

だから、こういう映画は気になる性分なんです。

 

 

Introduction

16㎜フィルムから溢れ出す、街を漂う匂い、降り注ぐ光の粒、ケイコの心が軋む音。

観る者の心をつかんで離さない、感覚を研ぎ澄ます映画体験。

本作は、聴覚障害と向き合いながら実際にプロボクサーとしてリングに立った小笠原恵子さんをモデルに、彼女の生き方に着想を得て、『きみの鳥はうたえる』の三宅唱が新たに生み出した物語。ゴングの音もセコンドの指示もレフリーの声も聞こえない中、じっと<目を澄ませて>闘うケイコの姿を、秀でた才能を持つ主人公としてではなく、不安や迷い、喜びや情熱など様々な感情の間で揺れ動きながら一歩ずつ確実に歩みを進める等身大の一人の女性として描き、彼女の心のざわめきを16㎜フィルムに焼き付けた。そして本年2月に開催されたベルリン国際映画祭でプレミア上演されるやいなや「すべての瞬間に心が響く」「間違いなく一見の価値あり」と熱い賛辞が次々に贈られ、その後も数多くの国際映画祭で上演が続いている。主人公・ケイコを演じた岸井ゆきのは、厳しいトレーニングを重ねて撮影に臨み、新境地を切り開く。ケイコの実直さを誰よりも認め見守るジムの会長に、日本映画界を牽引する三浦友和。その他、三浦誠己、松浦慎一郎、佐藤緋美中島ひろ子仙道敦子など実力派キャストが脇を固める。ケイコの心の迷いやひたむきさ、そして美しさ。全ての内包した彼女の瞳を見つめているうちに、自然と涙が込み上げてくる。

https://happinet-phantom.com/keiko-movie/#introduction

「小笠原恵子」さんという実在する人物をモデルにしたお話。

原案は2011年に出版された「負けないで!」という彼女自身の著書。

生まれつき耳が聞こえず、小・中学は普通学級、高校は聾学校に進学。

卒業後、歯科技工士養成学校時代にボクシングジムに通い出す。

Story

不安と勇気が背中合わせ。震える足で前に進む、彼女の瞳に映るもの

嘘がつけず愛想笑いが苦手なケイコは、生まれつきの聴覚障害で、両耳とも聞こえない。再開発が進む下町の一角にある小さなボクシングジムで日々鍛錬を重ねる彼女は、プロボクサーとしてリングに立ち続ける。母からは「いつまで続けるつもりなの?」と心配され、言葉にできない想いが心の中に溜まっていく。「一度、お休みしたいです」と書きとめた会長宛の手紙を出せずにいたある日、ジムが閉鎖されることを知り、ケイコの心が動き出す。

https://happinet-phantom.com/keiko-movie/#introduction

ボクシングが題材の映画は昔から結構ある。

有名所だと「ロッキー」とか。

日本だと「あゝ、荒野」とか。

女性ボクサーだと「百円の恋」が思い浮かぶ。

「百円の恋」と違うのは既に主人公がプロボクサーであるところ。

既にプロとして一勝を挙げているところから物語がスタートする。

Cast・Staff

主役の小河ケイコ役は岸井ゆきのさん。

名前を「小笠原恵子」にしなかったのは何でだろう?と考える。

今回、初めて認識した女優さん。

ボクシングジム会長役は三浦友和さん。

北野武監督アウトレイジで知っている。

知ってるけれど、同じ役者さんだとは思わなかった。というか、今でも混乱している。

監督・脚本は三宅唱さん。

この方の脚本・監督する作品も存じ上げないので初めましての方。

Netflix呪怨:呪いの家」を手がけているそうな。

我が家はNetflix未契約なので見れないのだが。

感想

映画を観た後で気がついたのだけど、様々な映画賞を受賞している。

まず目を引くのは最優秀俳優賞や主演女優賞を受賞している岸井ゆきのさんの役作り。

生まれつき聴覚障害を持たれている方の喋りというか発音の癖というか、そういうのを完璧に自分のものにしていることに驚いた。

単純に真似しているのではなく「ケイコが喋っている」と思わせられる。

全編を通して言葉を発することが殆どない。2〜3回喋ったかな?程度。

基本的に会話は手話を使用している。

そして、手話で会話をしている時の表情や仕草も特徴を掴んでいるように感じた。

途中で「映画を観てるのだっけ?ドキュメンタリーだっけ?」という錯覚すら覚える。

 

あと、テーマと 16㎜フィルムの相性が抜群に良かった。

というのも「ボクシング」をテーマにすると、どうしても昭和感が醸し出される。

そして、ボクシングジムも下町の一角に存在する。

ボクシングジムも扉がガラス戸で床は古い板張りで、使用されている道具も年季が入っていて。

作品中にも「戦後にできて一番古いジム」という話があった(はず)

その中に存在している不器用ながらも温かい人間模様が愛おしく感じる。

もうこんな空間は存在しないのかもしれないな……と、ちょっと寂しさを覚える。

 

映像的お気に入りポイントは「電車が通過している高架の下を歩いているケイコ」の図。

陰影も素晴らしいのだが、そこを通過する電車の音も綺麗だった。

 

そう、この映画は音もすごく綺麗だった。

全編通してBGMは全くない。

そこに流れている自然音がものすごくクリアに録音されている。

全くノイズにならず、とても心地いい。

現に録音賞も取られている。

最後

余計なものが全て削ぎ落とされているように感じる映画。

しかし、鋭さはなく愛おしい人間模様をクリアに感じる。

特に愛おしく感じるのはケイコと会長が横並びで鏡に向かってシャドーボクシングしているところ。

やっぱり格闘系は師弟愛あってのものでしょ!とひとりで納得したものでした。