ちゃっぴーの雑記帳

香川県で細々と演劇したりダンスしたり観劇したり本を読んだり映画を見たり……日々の思いや考えを綴っていきます。

江戸川乱歩作品紹介「一人二役」

乱歩之回作品紹介、折り返して後半戦。

後半戦最初の作品は「一人二役」です。

 

株式劇団マエカブ・劇団まんまる合同公演

「乱歩之回-江戸川乱歩戯曲短篇蒐」

 

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作品紹介第4弾。

今回の公演である「乱歩之回-江戸川乱歩戯曲短篇蒐」は5つの作品をご用意しております。

1公演3演目、という制限があるなかで、どの回を選ぶかは迷われるかと思います。

その中で、少しでも参考になればと思います。

 

初版は1925年となる作品です。

こうして見ると、今回の戯曲はこの辺りの年代を中心に取り扱っていることがわかりますね。本当にデビューしたての新人作家だった頃の江戸川乱歩先生の作品ですね。

「新小説」という文芸雑誌に掲載され「夏目漱石」という有名作家や、江戸川乱歩先生の名前の元となった「エドガー・アラン・ポー」の「モルグ街の殺人」を「森鴎外」が翻訳した作品も掲載されていたとか。

今、考えたら錚々たるメンバーだったんだな、と思います。

 

さて、そんな「一人二役」は今回の公演で名前を知り、原作も青空文庫で読んでみました。

 

登場人物は「僕」と友人の「T」、そしてTの妻……「細君」の3人です。

……ちなみに「細君」は「さいくん」と読みますよ。決して「ほそぎみ」じゃないですよ。私は最初、普通に間違えてました。

 

その「T」が「細君」がいる身でありながら、「ただの退屈しのぎで女遊びを繰り返す」ような男だった。「次々と女に接していけば違った味がある」なんて言って。

そんな「T」が、ある日、奇想天外な遊戯を始める。

簡単な変装をして自宅に帰り、細君の所へ別の知らない男が訪ねてきたように錯覚させたのだ。しかし細君はTが帰ってきたという。

帰ってきていないのならば「離魂病」ではないのか、と。その離魂病とは「一人の人間の姿が、二つに分かれて、同時に、違った場所で違った行いをする」という怪談めいたことを言い出す始末。

しかし「お前が違う男を引き連れてきているのではないか?」と脅しつけて納得させる。そして、また、その変装をして細君の所へ訪ねるという遊びを繰り返し繰り返し行っていく「T」であった。

そんな中、「細君」に変化が生じ、その変化が「T」の遊びを脅かしていく……。

 

後半は「嘘」と「本当」の境界線が曖昧になって、「嘘」が「本当」を超えていきます。その発想がまた、天才だなと読んでいて思います。「私」が「私」でなくなっていく、何とも恐ろしい感覚だと思います。「私」が「私」を脅かし、「私」が「私」を「私」じゃないようにする。

これ、考えただけで恐ろしいです。ドッペルゲンガー、とかの方が、まだ優しいような気がします。

自分が意識的に行動した結果、自分が無意識に自分を殺しにくるんですから。

 

その結果、「T」と「細君」の関係性が変化していく……という所までが原作の「一人二役」です。

ですが、今回の戯曲にはその「続き」の物語が加筆されています。

これは「なるほど」と思います。江戸川乱歩先生の世界観を邪魔することなく加筆された+αがとてもいい味だと思います。

立場が目まぐるしく変化していく感じは、戯曲らしく面白いものです。

 

この作品は「香川」「徳島」入り乱れ連合です。

フリーの役者の仁後さんに、劇団まんまるの佐光さん、そして株式劇団マエカブの三嶋が混じり合う、混沌とした空間です。

 


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嗅覚がよく器用に演じる仁後さんと、不思議な色気が漂う佐光さんにどこまで喰らいつき、そして空間を作り上げていけるのか、とてもワクワクしています。

私があまり得意としていない部分が多いお芝居で、挑戦させてもらい、とても有意義な稽古時間を過ごさせてもらっています。

個人的には一番「お芝居らしい」と感じる戯曲と演出になっています。

 

そんな「一人二役」は「香川」「徳島」の両県で上演されます。

5回上演させてもらえるので、とてもありがたく、楽しんでお芝居に挑みたいです。

 

【香川公演】

・6月16日(日)14:00~

         17:00~

・6月22日(土)15:00~

         19:00~

・6月23日(日)15:00~

 

 

以下、公演詳細です。

 

株式劇団マエカブ・劇団まんまる合同公演
『乱歩之回-江戸川乱歩戯曲短篇蒐-』

 

 

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うつし夜はゆめ よるの夢こそまことーーー
舞台が終わり戻る先は、現実か、あるいは虚構か。


[チケット]※両公演共通
前売:1,500円
当日:1,800円
※未就学児の入場はご遠慮ください
※前売りチケットの販売は香川6/12 23:59、徳島6/20 23:59まで。
Web予約をされた方は、お支払いは公演当日、会場にてお願いします。

[公演情報]※両公演共通
上演時間:約60分予定

 

[上演作品]
「赤い部屋」…RIN
「お勢登場」…繁中、橋本、三嶋、与力、法兼(香川)/藤本(徳島)
「百面相役者」…宮元、藤本
一人二役」…仁後、三嶋、佐光
「指」…与力、英、坂東

 

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《香川公演》
[日時]
2019年6月15日(土)14:00開演、18:00開演
2019年6月16日(日)14:00開演、17:00開演
※開場は開演時間の30分前

 

6月15日(土)
14:00「指」「赤」「お勢」
18:00「百」「赤」「お勢」
6月16日(日)
14:00「指」「百」「一」
17:00「一」「赤」「お勢」


[会場]
ヨコクラうどん(高松市鬼無町鬼無136-1)


[駐車場]
駐車場に限りがあります。
恐れ入りますが、なるべくお連れ様と乗り合わせの上、
(有)手ぬぐい工房ポスター堂さん(香川県高松市鬼無町鬼無257-11)の駐車場に
駐車をお願い致します。(ヨコクラうどんまで徒歩5分)
当日スタッフがご案内します。

 

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《徳島公演》
[日時]
6月22日(土)15:00開演、19:00開演

6月23日(日)11:00開演、15:00開演
※開場は開演時間の60分前


[会場]
大正館(徳島県小松島市小松島町字外開7-11)

 

6月22日(土)
15:00「指」「一」「お勢」
19:00「一」「百」「お勢」
6月23日(日)
11:00「指」「百」「お勢」
15:00「一」「百」「お勢」

 

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[出演]
〈株式劇団マエカブ〉
藤井みな、繁中あずさ、与力(よりき)、三嶋孝弥、橋本琢真、法兼弘季、RIN
〈劇団まんまる〉
大木茂実、佐光恵美子、宮元優佳、英佑有紀、坂東幸奈
〈劇団テアータ’80〉
藤本康平
〈フリー〉
仁後哲志

[スタッフ]
原作:江戸川乱歩
演出:大木茂実
脚本:藤井みな、大木茂実
構成:藤井みな
公演責任者:大木茂実
舞台監督:三嶋孝弥
衣装・舞台美術・小道具:繁中あずさ、宮元優佳、法兼弘季
照明:三嶋孝弥
制作:<香川>与力(よりき)・橋本琢真 <徳島>佐光恵美子


[お問い合わせ]
●株式劇団マエカブ(香川)
090-7572-6104(岡田)
http://maekabu.main.jp/ 

●劇団まんまる(徳島)
050-5359-4043
https://troupemanmaru.com/contact 

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