もう、来週末に迫ってきました。
株式劇団マエカブ・劇団まんまる合同公演
「乱歩之回-江戸川乱歩戯曲短篇蒐」
その作品紹介を行っていこうと思います。
というのも、今回、上演作品に5本の戯曲を用意しております。
その中で1公演3演目を上演します。
つまり、どの回に来るかによって見れる作品が変わってくるのです。
というわけで、少しでも選定の参考になればと思い、勝手に作品紹介していこうかと思います。
といっても、私も全ての作品を読んでいるわけではないので、これを機に、少しでも自分が出演する以外の作品も知っていき、江戸川乱歩先生の世界観を深めていこうかと思います。
それではまずは記念すべき第一本目!
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赤い部屋
初出は1925年(大正14年)4月です。乱歩が30歳の時の作品ですかね。
1923年に「二銭銅貨」で小説家としての経歴をスタートしたので、初期の作品です。
「赤い部屋」は「青空文庫」でも読めますので、是非とも読んでいただきたい。
夢と現、本当と嘘。境目が曖昧になる感覚を初めて読んだときは覚えました。
冒頭は「私は正気か狂人かわからない。何かの精神病者かもしれない。不思議な程この世がつまらなく、生きていることが退屈で仕方がない」という新入会員のTという人間の語りから始まります。
Tは色々な道楽に手を出しても退屈で、何をしても億劫で、色んな空想を巡らしながら楽しいことを想像しても、結局退屈に思えてしまう。そんな「死ぬよりもつらい」「一層、死んでしまった方がまし」と思いながら、ただ毎日をじっとして暮らしていた。
そんなTもひとつの楽しみを見つけ出すことができた。
……と、これを書いてしまうと完全なるネタバレになるので伏せます。
「青空文庫」でも読めるのですが、あえて読まずにお芝居を見る楽しみもありますからね。
そしてTはその楽しみを幾度も幾度も繰り返していきます。
その楽しみというのも、また不思議な物で「自分で直接」楽しむわけではなく「間接的に」楽しむというものでした。
その方法も実に巧みで、周囲にそれを悟られることも決してないのです。
この部分は読んでいて、とても関心する部分でした。
そして、そのTの「楽しみ」というのも、結局は本当か嘘かわからなく、有耶無耶にされて終了するという話です。
私がこの話で好きなのは、物語の巧みさもさることながら、真実が分かった時の「虚無感」が最後に文章で表現さているところだったりします。
その伏線が小説の冒頭にあって、乱歩の文字を書く力を実感します。
引き込んで引き込んで引き込んで……最後にパッと全てを引き剥がして現実に返っていく感覚。
「なーんだ……」と言った中に……引き剥がされた現実の中に真実が混じっているような感覚。
そんな、夢と現の狭間を行き来するような作品だと思います。
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そんな「赤い部屋」を演じるのは
株式劇団マエカブの「RIN」です。
そうです、ひとり芝居です。彼のひとり芝居ファンの人は多いと思います。
もちろん、私もそのひとりです。
そんな、夢と現の狭間を巧みに力強く表現してくれると思います。
初めて小説を読んだ時と、実際に演じることによる違いがあって、どちらも楽しめる作品だと思います。
作品読んでから観劇でもいいし、観劇して興味を持って作品を読むのでもいいと思います。
職業が整体師さんなので、隙あらば矯正してきます。
そんな「赤い部屋」は香川公演のみの上演となります。
・6月15日(土)14:00~
18:00~
・6月16日(日)17:00~
お席はまだございますし、6月16日(日)17:00~の回は終演ごに会場となります「ヨコクラうどん」さんでうどん打ち上げもございます。
こちらも、お時間ありました是非ともご参加いただけたらと思います。
以下、公演詳細!
『乱歩之回-江戸川乱歩戯曲短篇蒐-』
うつし夜はゆめ よるの夢こそまことーーー
舞台が終わり戻る先は、現実か、あるいは虚構か。
[チケット]※両公演共通
前売:1,500円
当日:1,800円
※未就学児の入場はご遠慮ください
※前売りチケットの販売は香川6/12 23:59、徳島6/20 23:59まで。
Web予約をされた方は、お支払いは公演当日、会場にてお願いします。
[公演情報]※両公演共通
上演時間:約60分予定
[上演作品]
「赤い部屋」…RIN
「お勢登場」…繁中、橋本、三嶋、与力、法兼(香川)/藤本(徳島)
「百面相役者」…宮元、藤本
「一人二役」…仁後、三嶋、佐光
「指」…与力、英、坂東
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《香川公演》
[日時]
2019年6月15日(土)14:00開演、18:00開演
2019年6月16日(日)14:00開演、17:00開演
※開場は開演時間の30分前
6月15日(土)
14:00「指」「赤」「お勢」
18:00「百」「赤」「お勢」
6月16日(日)
14:00「指」「百」「一」
17:00「一」「赤」「お勢」
[会場]
ヨコクラうどん(高松市鬼無町鬼無136-1)
[駐車場]
駐車場に限りがあります。
恐れ入りますが、なるべくお連れ様と乗り合わせの上、
(有)手ぬぐい工房ポスター堂さん(香川県高松市鬼無町鬼無257-11)の駐車場に
駐車をお願い致します。(ヨコクラうどんまで徒歩5分)
当日スタッフがご案内します。
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《徳島公演》
[日時]
6月22日(土)15:00開演、19:00開演
6月23日(日)11:00開演、15:00開演
※開場は開演時間の60分前
6月22日(土)
15:00「指」「一」「お勢」
19:00「一」「百」「お勢」
6月23日(日)
11:00「指」「百」「お勢」
15:00「一」「百」「お勢」
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[出演]
〈株式劇団マエカブ〉
藤井みな、繁中あずさ、与力(よりき)、三嶋孝弥、橋本琢真、法兼弘季、RIN
〈劇団まんまる〉
大木茂実、佐光恵美子、宮元優佳、英佑有紀、坂東幸奈
〈劇団テアータ’80〉
藤本康平
〈フリー〉
仁後哲志
[スタッフ]
原作:江戸川乱歩
演出:大木茂実
脚本:藤井みな、大木茂実
構成:藤井みな
公演責任者:大木茂実
舞台監督:三嶋孝弥
衣装・舞台美術・小道具:繁中あずさ、宮元優佳、法兼弘季
照明:三嶋孝弥
制作:<香川>与力(よりき)・橋本琢真 <徳島>佐光恵美子
[お問い合わせ]
●株式劇団マエカブ(香川)
090-7572-6104(岡田)
●劇団まんまる(徳島)
050-5359-4043
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