ちゃっぴーの雑記帳

香川県で細々と演劇したりダンスしたり観劇したり本を読んだり映画を見たり……日々の思いや考えを綴っていきます。

【四国初導入】三豊市パートナーシップ宣誓制度記念イベント「様々な家族について考える」

2020年2月29日(土)13:00~16:30

三豊市パートナーシップ宣誓制度記念イベント

「様々な家族について考える」

三豊市文化会館 マリンウェーブ

 


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令和2年1月1日

三豊市で「パートナーシップ宣言制度」が導入されました。

四国では三豊市が初めてで、その記念イベントが開催されたので行ってきた。

 

 

 

三豊市」とは

香川県の西部にある市。

2006年に三豊市仁尾町、高瀬町、豊中町、山本町、財田町、詫間町三野町の7町が合併して成立。

人口は約65,000人程。

高松市丸亀市に次いで3番目の人口規模。

あの話題になった「香川のユウニ塩湖」こと「秩父ヶ浜」も三豊市にあります。

北は瀬戸内海、南は讃岐山脈という山あり、海ありの温暖な気候の市です。

 

 

「パートナーシップ宣誓制度」とは

お互いを人生のパートナーとし、相互の協力により継続的な共同生活を行いまたは行うことを宣言した性的マイノリティカップルに対し、市が2人の関係を証明する制度です。

三豊市HPより引用:https://www.city.mitoyo.lg.jp/forms/info/info.aspx?info_id=14122

2015年11月5日に東京都渋谷区・世田谷区で日本で初めてパートナーシップが導入されました。

その後、三重県兵庫県沖縄県……と増え続け、現在では34の自治体が導入しています。

私も東京で導入された、というニュースははっきりと覚えているのですが、続々と増え続けていたということは知らなかった。

 

 

「様々な家族について考える」とは

今話題の同性婚三豊市で施行されたパートナーシップ制度についてのトークイベントです。

LGBTなどの正しい知識と共に話を進めていきます。

 今回、三豊市が施行した「パートナーシップ宣言」を受けて開催されました。

主催は「一般社団法人Marriage for All Japan」という団体です。

(団体ホームページ:http://marriageforall.jp/) 

ホームページもとてもわかりやすくて「どうして同性婚という制度が必要なのか?」という事を勉強するにはとてもいいです。

 

① 映画上映

3つの映画が上演されました。

サイレント、ドラマ、ドキュメンタリーと幅広く楽しめました。

 

1)フユノイエ

2008年に作られたサイレント作品。

監督は田中昭全さん。

10分間のサイレント映画。サイレントなので当然、音声はない。

出演は監督でもある田中さんと、パートナーの川田有希さん。

クリスマスにパートナーの帰りを待つ話。

サイレントの効果なのかわからないのですが、冬の寒さと、家と料理と誰かが待っている温かさを感じる映像だった。

最初の星を掴む構図が好き。そこにちょっとのもの悲しさを感じたのは何故なんだろう。

 

2)エソラ

2013年に作られた25分の短編映画。

監督は「フユノイエ」と同じく田中昭全さん。

ずーっと観たかったけれど、機会がなくて観れなかった作品をようやく拝むことができた。

「ゲイである」ということをテーマに描かれていて、ライトでプラトニックな映画。

爽やかで身近に感じる事ができる。緑と白と青が似合う。

爽やか。とにかく、爽やか。

 

3)ある家族の肖像

2015年に撮られたドキュメンタリー映画

監督は松井蛙子さん。「蛙子」ってお名前が素敵。

出演は田中昭全さんと川田有希さん。

田中さんと川田さんとは、もう長く友達付き合いさせてもらっている。

その2人の変わらない姿がスクリーンにはあって安心する。

そんな2人の考えている事を少しだけ垣間見る事ができて新鮮な気持ちになった。

 

 

三豊市長スピーチ

三豊市の山下昭史市長さんから「三豊市パートナーシップ宣誓制度について」と題したお話を聴くことができた。

内容も非常に面白くって「どうして三豊市なのか?」という質問に対して「そこに困っている人がいるから」と、考えたら当たり前の返答。

当たり前の返答なんだけど、それが進まない自治体もあって、困っている当事者の方々も現実にはいるわけで。

それをサラッと答えられるのか……滅茶苦茶にかっこいいではないか……。

田中さんと川田さんが婚姻届けを提出して受理されなかった事を受けて、そこから1年もせずに「パートナーシップ宣誓制度」を施行するのは、本当に凄い事だと思う。

その背景には三豊市の職員さん達の奮闘もあり。

誰もが「自分事」として考え、行動し、制度を変えていく……絶対に絶対に簡単ではない事だ。

でも、それを「困っている人がいるから」と受け止められる三豊市の懐の深さを感じた。同時に目頭が熱くなった。

 

 

トークセッション

田中昭全さんと川田有希さんのお話を聴くことができた。

本当はもう1組のカップルも来られる予定だったが、体調が思わしくないということで断念されたみたい。残念。

 

特に印象に残っているのは「精神的に心強い」という話だった。

同性婚」と「パートナーシップ宣言制度」では法律的に受ける事ができる恩恵がかなり限られている。

三豊市だと「市営住宅の入居要件配慮」や「市立病院の面会・治療説明・手術の同意を求める事ができる」ということ。

制度的な面でも「ある/ない」で比較すると「ある」に越したことはない。

でも、そこだけではなく、もっと精神的というかメンタル的というか、そういう安定に繋がるらしいことが分かった。

今、聴いて考えたら当たり前の話なんだけど、その話を聴くまでは考えたことがなかったんだ、と自覚した。

 

 

感想

福祉の勉強をしていた時に「人」を見るのか「障害」を見るのか、という視点の話を聞いた。

「個人モデル」なのか「社会モデル」なのか。

その「障害」というモノは「個人の障害」なのか「社会の障害」なのかという話。

まぁ、言うまでもなく「社会の障害」という視点で世の中を変革させていかなくてはいけない。

「特定の人が使いやすい」というモノは「誰もが使いやすい」と考える。

 

自分自身が「セクシャルマイノリティである」と自覚する瞬間は人によって違う。

幼少期から感じる人が殆どだとイメージされがちだけれど、

結婚してから自覚する人もいるし、

子どもが生まれてから自覚する人もいるし、

本当にどのタイミングかなんてわからない。

社会の「当たり前」に自分自身を当てはめ続けていたら、気が付かないまま大人になっていた、という人もいるはずなのだ。

自分のセクシャリティを自覚したその時に受け皿となる社会がない、というのは想像を絶する絶望なのではないだろうか。

 

今回の三豊市のパートナーシップ宣言制度制定は小さな一歩なのかもしれない。

でも、その一歩が、新しい次の一歩を生み出してくれるかもしれない。

私個人としては1日でも早く「同性婚」の制度が施行されないかなぁ、と思っている。

 

台湾で同性結婚を認める法案が成立した時は嬉しくて、思わずブログに書き綴った。

 

www.chappy0623.work

 

その思いの中には、もちろん友人である田中さんと川田さんに対する個人的な思いもあることは事実。

事実だけれど、それ以上に、当たり前のように「好きな人と一緒になることを国が認めている」という状態にならなくてはいけない。

 

何故か?

それが当たり前だからだ。

 

そんな社会が来る日を待ちながら、

私はこの活動を支持し続けていく。

 

何か、もっと、具体的にできる事があればいいのだけれど……それも勉強していきます。